やって後悔するより、やらないで後悔する方がまし。ではなく、やって後悔しない、のが最も良いと感じる今日この頃です。医学学術集会の大会長の経験から。
私、福田大和、は、2021年1月に日本心臓リハビリテーション学会より、第6回(高知では2回目(ちなみに1回目は高知大学附属病院の循環器内科教授の北岡教授))の四国支部の大会長に任命され受諾しました。循環器系の学会においては地方会においても開業医が学会を主催することは過去学会調べではない、ということもあり、実際は断ろうと思ったのですが、「心臓リハビリテーション(心リハ)」には人一倍思い入れもあり、また香川の現:四国こどもとおとなの医療センターで心リハを立ち上げ、また心リハセンター長を始めていたこと、また高知で外来心リハを福田心臓・消化器内科で初めて開設したこともあり、そういった経験が多くの参加者のためになるのでは、と思い最終的に引き受けました。
何もかもが初めてのことであり、多くの方の助けや、製薬会社、一般企業、先輩、友人、後輩の支援もあり完全web方式ですが、この3月26日に無事開催できました。学会自体も私が思う最高の構成で臨め、今までの大学病院や大病院の医師が主催するものとは一味も二味も違うものとなりましたが、「心リハの学会である」というファーストピンは外さないように心がけました。北川秘書課長、福田あゆみ事務長に負担をかけてしまいましたが、その他大勢の方にもご支援いただき、私自身、また参加した方からも学会として非常に盛り上がった、との声をいただき、この2年と少しの期間の苦悩が報われる思いがしました。この「すこやか通信」の場を借りて関わってくださった方に感謝したいと思います。
私は医学生のころ、バスケットボール部の主将を終えた後は、いろんな部活を掛け持ちしていたのですが、格闘技愛好会(3人だけです)にも入り、当時は珍しい総合格闘技(MMA)を東京まで習いに行っていた1つ上の部長や、自身が栃木県のボクシングジムに通っていて教えてもらったことがあります。「構えている状態は非常に安定しているが勝ちもなければ、おそらく判定でまけるだろう」、ということです。自分、もしくは敵が打ち出す、または仕掛ける瞬間が最も不安定である、ということです。立ち止まっているだけでは得られるものはなく、判定負けの可能性もでてくるけれども、不安定な時期を乗り越えて、一歩目を踏み出す勇気は相当人生において大事なことだと、この学会を終えて思いました。45歳になった私ですが、今後も得られるものの価値を考え、そこに向けて「一歩」を踏み出していきたいと思っています。 量子力学の世界では時間という概念がなくなりつつあるという書物を読みましたが、まだまだその域に達していない私は、時間は有限という考えを未だ捨てきれないので、踏み出す方向を間違えないように気をつけたい、と歳をとって思っています。
一宮きずなクリニック
院長 福田 大和