すこやか通信-2025年3月号-

 しゃっくりが止まらない。今日で3日目だ。
 何の前触れもなく「ひくっひくっ」止めたくても自分ではどうにもならない。
 山本リンダの「どうにも止まらない」状態だ。食事をしている間も「ひくっ」。
 サックスを吹いているときも「ひくっ」。患者さんと大事な話をしている途中にも「ひくっ」。患者さんにも笑いながら「先生お大事に!」と言われる始末。何をするのも憂鬱になってしまう。
 会う人ごとに背中をたたかれたり驚かされたりするのだが一向に治らない。
 私自身も、何もしないわけではない。ありとあらゆる民間療法を試してみた。「冷たい水を一気に飲む」「頭を傾けてコップの反対側から飲む」「息を止める」「舌をそっと引っ張る」芍薬甘草湯を毎食前にも飲んでいる。効果がないのだ。
 何時になったら止まるのかと不安になってしまった。

 医学的には、しゃっくりとは横隔膜の痙攣だ。しゃっくりの音は、喉の声門から出ている。
 横隔膜の痙攣によって、喉の両側にある声帯が急に閉じて空気が入れなくなり、ガクンと振動が起こると同時に「ひくっ」という音が出るのだ。呼吸筋をつかさどる神経や脳の一部が関係している。
 原因は様々だが、私の場合は、食べ過ぎ・飲み過ぎだと思い当たる。しかも、しゃっくりが出だしてから便秘がひどい。吐糞症目前状態だ。
 調べてみると、通常しゃっくりは数時間で治るものだが、2日以上続く場合は脳梗塞の可能性もあるとか。心配になってきた。
 ギネスブックによると世界最長はアメリカのオズボーンさん。68年間毎分20~40回のしゃっくりをしたそうだ。
 死ぬことはなさそうなので少し安堵し、新たな対応をすることとした。

 しゃっくりが出るのは大人も子供も一緒。じつは、お腹の中にいる赤ちゃんもしゃっくりをしています。妊娠中期~後期になると、お母さんにも「ぴくっぴくっ」と一定のリズムで痙攣するのが感じられます。心配になりますが、これは生まれた時に上手に呼吸する訓練と考えられています。身近に、もうすぐ生まれる赤ちゃんがいて、しゃっくりをしていたら、「がんばれ」と声をかけたくなりますね。

 ところで、私のしゃっくり。やっと4日目で止まりました。
 喉の奥に指を突っ込んで胃の中のものをもどしたら止まりました。
 後で聞きました。「なーすーび」って叫んだら治るのに…と。
 今度はそれもやってみるか。