すこやか通信-2022年8月号-

「発熱」

 朝から晩までクーラーに守られて生活している冷蔵人間の私。この灼熱の夏は一歩外に出れば今にも焦げ付きそうである。コロナも800人を優に超え、状態が悪く熱があれば、熱中症なのかコロナ感染なのか見分けもつかない状態だ。

 それでも貴重な午後の休み、体のため運動しようと、ゴルフ練習場に赴いた。白い半ズボンに黒のTシャツ、背中には「勝男武士」と書いてある。バッグを背負いフロントに入った時である。まず検温。設置された体温計に額を当てようとした時である。「ブーブーブー」と甲高い空気の裂けるような爆音がした。何事かと思うと私の前の検温器が38℃を表示し、赤の点滅をしてこちらを睨んでいるようだ。周りの人にも白い視線を差し込まれているようだ。コロナ?私自身も「ひょっとして」と戸惑った。

 ゆっくりと後ずさりをして、涼んだ後思い直してもう一度再挑戦。今度の表示は36.5℃。胸をなでおろした。「よく誤作動するんですよ」とフロントの人。でも考えてみると車のフロントガラスに映った少し広めになってきた私の額は確かに焦げ付いていたのかもしれなかったのだ。こんな経験は誰にでもあるのだろうか?聞いてみたいものだ。

 さて、ここで体温について考えてみた。37℃って熱がある?医学的には37.5℃以上が発熱、38℃以上が高熱だ。どうも昔の水銀体温計の表示に37℃のところに赤い線を引いてあったことが習慣的に発熱を想像させるのだ。日本人の平均体温は36.89℃。実はそれ程でもないわけだ。ただ、自分の平熱が低い人は37℃で熱ありだからご注意願いたい。体温には日内変動もある。朝は低くて夕方には少し上がるのが普通である。高齢者の場合は朝から急速に熱が上がり夕方まで高く、夜はかなり低くなることが多い。熱しやすく冷めやすいのである。午前中に熱が高い人はもう高齢者という事かもしれません。

 私にとっては体温計なるもの自体が怪しい。いつ測っても低いのだ。脇の下で測るのだがどうも上手くいかない。最近知ったのだが、体温計の使い方が悪かった。脇で測る時はよく拭いて乾燥させた上で、腕を少し挙げて体温計を縦に押し込み、ぎゅうっと挟むのが正しいようだ。正確な体内温度を測るには肛門に差し込むのが良いと言われるがちょっと恥ずかしい。専門家にだけ任せたい。

 最近よく見る皮膚赤外線体温計(非接触体温計)は測定した部位の皮膚の赤外線放射量を測定し、その部位の体表面温度を推定するという優れもの、1秒で測ることができる。もしかしたら私の額のように光っているものには誤作動するかも?

 提案として、健康な時に一度ご自分の体温を測っておくことをお勧めしたい。

 猛暑日8月、毎日のように熱中症とコロナ感染の患者さんが来院されます。自分の身は自分で守るしかないのが現状です。十分な水分補給をしてご自愛ください。