すこやか通信-2023年12月号-

ユーチューバーと医師

 私も歳をとったものである。動画を投稿するユーチューバーという職業が、最近までなりたい職業上位になっていることに驚いたものであった。調べてみると2017年にはなりたい職業にユーチューバーは上位ではなく、医師が入ってくる年であったようだ。年齢にもよるが、高校生対象だと、男女問わず2023年度は医師がユーチューバーを抜く結果になっている。これはユーチューブへの投稿を試しにしてみたので分かるのだが、これで食べていくのは至難だと感じた(「レッドンの医療チャンネル」、で見れます。徳島大学の医師と一緒に撮影した動画もあります。無料ですから、チャンネル登録をしてみてください)。
 勝手な推測ではあるが、一時期なりたい職業の上位であったが、若い高校生や大学生などがユーチューブに動画を投稿し、私と同じように、これは難しい、と思ったのでなりたい職業の下位になったのではないだろうか。
 医師はやりがいもあるし、世間一般的には安定していると思われているのだろう。しかし激務である。私の知り合いは大腸癌の末期であるが抗がん剤を点滴しながら診療を行っていたし、医療の技術を身につけるには徳島大学の時も日赤勤務時も、高知に来て福田心臓・消化器内科を開業してからも、昼夜深夜明け方に、盆正月に病院に住み込む時期が必要であった。フランスの哲学者、モンテスキューが言うように、「少しのことを知るために、多くのことを学ぶ必要がある」ため、毎日の研鑽を一生続けないと医療の進歩についていけない。それが最低限であり、それ以上の事をする者だけが医師になる資格があるのではないだろうか。
 しかし決して医療もユーチューブも面白くないわけではない。真剣に取り組めば、トヨタ自動車の豊田前社長が言うように、仕事を苦痛に思わず、趣味、ゲームのようにのめり込む事が出来る。まだまだ至らぬ自分であるが、その域に、そのレベルで仕事をしたいと考える毎日である。

 ちなみに、先日、「私」(福田大和)の親父である理事長(福田善晴)が「厚生労働大臣表彰」を拝受した。その時自宅で私が、凄いなぁ、と言うと、「これは俺だけの功績ではない。よって法人のみんなが評価されるべきものだと思う」と一言。大変な偉業であり、俗人の私なら自分だけの手柄にしたい、と思うのだが、やはり人間強度の強い親父殿は根本の考え方が違う。

一宮きずなクリニック
院長 福田 大和