すこやか通信-2021年3月号-

理事長 福田善晴

今月は、不整脈の手術について書いてみます。

不整脈と言うのは車で言えば、電気系統のトラブルです。

不整脈は速すぎる不整脈(頻拍性)と遅すぎる不整脈(徐脈性)に分けられます。

どちらも内服治療で治るなら良いのだが、効果のない場合や薬を飲むのが嫌な場合は手術の適応がある。

 以前に比べ、格段に技術・成功率が改善しているので、是非検討してもらいたい。

 まず遅すぎる場合。心臓が止まってしまう危険がある場合は、ペースメーカーが必要だ。

心臓にバッテリーを入れると考えてもらいたい。病態によっていろんな種類を使い分けている。心臓の中に入れるタイプ、外から付けるタイプがある。最近では、リード線なしに心臓の中に直接埋め込むタイプも出来ており話題がある。

 逆に、速すぎる場合。

 これに対しては、最近、目覚ましい進展がある。

 解り易くするために、心房性(心臓の上半分)と心室性(心臓の下半分)に分けて考えます。

 心房性の場合は殆どが、余分な配線が出来て混線した状態です。(専門的にはリエントリーと異常自動能と呼ばれています)心房性の場合は故障場所が解り易いので焼き付けで切る方法が期待されます。カテーテルで行う方法でアブレーション治療(心筋焼灼術)と言います。アブレーションとは「取り除く事、切除する」と言う意味です。カテーテルの先から高周波電流を流して、焼き切る方法です。不整脈には根本的な治療法であり、成功率は9割以上となっています。更に、最近では焼き切るのではなく風船で凍らせる方法(冷凍凝固)が開発され、更に安全に確実に行えるようになっています。

 心室性不整脈の場合は、直接死に至ることがあるので、簡単にはいかない。原因となる場所がはっきりしている場合は、先ほどのアブレーションが有効なこともあるが、簡単ではない。むしろ、不整脈の元が解らない事の方が多く、植え込み型除細動器(ICD)の適応となることもある。

この他、心房と心室の電線を切って、脈を無くした上で、ペースメーカーを植え込んだり、レーザーやマイクロ派を利用したりといろいろな方法が試みられている。確実にこの分野は進化しているので、私も注目しているのです。

 医学の発展は凄まじいものがあるので、私たち医師も常に研鑽する必要があると、切実に思います。何をやっても大変です。